【地域のアートレパートリー創造事業】【協働先:商工】 北九州芸術劇場×リバーウォーク北九州「リバダン!!」

リバの従業員みんなで踊る!!世界に1つだけのオリジナルダンス

リバーウォーク北九州の10周年に、北九州芸術劇場とリバーウォーク北九州が協働で制作したオリジナルダンス「リバダン!!」。リバーウォーク北九州で働く従業員が各店舗から集まり、仕事中にする仕草や動きを取り入れたオリジナルダンスが完成しました。振付には世界で活躍する近藤良平氏(ダンサー・振付家/コンドルズ主宰)を迎え、振付ワークショップやお披露目フラッシュモブを実施。複合施設スタッフ間の横のつながりや活気あるコミュニケーションが生まれました。

「リバダン!!」PV

「リバダン!!」振付PV

 プロジェクト内容

▼1:ワークショップ&朝練

■近藤良平とつくる!「リバダン!!」ワークショップ
日程:2013年4月18日(木) 場所:北九州芸術劇場 大ホール
対象:リバーウォーク北九州で働くスタッフ(55名)

■近藤良平と踊る!「リバダン!!」ワークショップ
日程:2013年7月9日(火)  場所:北九州芸術劇場 中劇場
対象:リバーウォーク北九州で働くスタッフ(45名)

■朝練!!
期間:2013年7月~9月  場所:リバーウォーク北九州
対象:リバーウォーク北九州で働くスタッフ

■近藤良平と踊る!「リバダン!!」たたきこみワークショップ
日程:2014年3月8日(土) 場所:北九州芸術劇場 小劇場
対象:公募で集まった市民ほか(61名)

■集まれ「リバダン!!」プロジェクト第一弾
 踏み出せリバダン!!ワークショップ
日程:2018年3月21日(水)  場所:北九州芸術劇場 小劇場
対象:公募で集まった市民ほか(46名)

■集まれ「リバダン!!」プロジェクト第二弾
 リバーウォーク北九州従業員向けワークショップ
日程:2018年4月11日(水)  場所:北九州芸術劇場 創造工房
対象:公募で集まった市民ほか(28名)

■集まれ「リバダン!!」プロジェクト第三弾
 こどもも一緒にリバダン!!ワークショップ
 リバーウォーク北九州コラボ企画 こどもの職業体験
日程:2018年9月17日(月祝)、23日(日祝)  場所:北九州芸術劇場 小劇場、創造工房
対象:公募で集まった子どもほか(56名)

▼2:発表

■リバーウォーク北九州10周年記念セレモニー
日程:2013年4月19日(金) 場所:リバーウォーク北九州
出演:リバーウォーク北九州で働くスタッフ(30名)

■わっしょい百万夏まつり
日程:2013年8月4日(土) 場所:小文字通り(北九州市役所前)
出演:リバーウォーク北九州で働くスタッフ(50名)

■ダンスダイブウィーク「リバダン!!」お披露目モブ~こんな人たち働いています~
日程:2013年8月4日(土) 場所:リバーウォーク北九州
出演:リバーウォーク北九州で働くスタッフ(41名)

■近藤良平と踊る!フラッシュモブ『どうぞ、モブ』
日程:2014年3月8日(土) 場所:リバーウォーク北九州、JR小倉駅
出演:公募で集まった市民ほか(61名)

■リバーウォーク北九州15周年記念セレモニー
日程:2018年4月21日(土) 場所:リバーウォーク北九州
出演:リバーウォーク北九州で働くスタッフ(70名)

■子どもと一緒にリバダン!!お披露目パフォーマンス
日程:2018年9月23日(日祝)
出演:リバーウォーク北九州職業体験に参加した子どもたち(17名)

▼3:動画

■動画製作プロジェクト「リバダン!!」ワンカットダンスリレー
 製作期間:2014年2月~3月 場所:リバーウォーク北九州
 出演:リバーウォーク北九州で働くスタッフ

インタビュー

▼近藤 良平(コンドルズ主宰・振付家・ダンサー)

(インタビューの会場となった北九州芸術劇場の事務所は、工場が並ぶ海側が一面窓となっている。その風景を眺めながら、とりとめもなく話し始める近藤さん…)

あの工場の煙ってずっと出続けているんだね~。絶え間なく煙が出ているってすごいね。いつも出ているあの煙が止まったら、心配になっちゃうよね(笑)

北九州ではいろんな所に連れて行ってもらったけど、旦過市場も面白いね。生活に根ざしているというか、営みを感じる。ほかにも、東京だったらすぐに取り壊されて開発が入るような場所が、昔のまま使い方を変えて残ってたり。今日久しぶりに歩いて感じた北九州のこの雰囲気や良さを、どう伝えたらいいのかなって真面目に考えちゃったよ。もちろん僕はここに住んでいるわけじゃないから、良いところだけを見ている部分もあると思うけどね。


―今回はその北九州で、リバーウォーク北九州のオリジナルダンス「リバダン!!」の創作から4回にわたるお披露目まで、一年を通して関わっていただいたわけですが、企業とダンスが繋がることの面白さや可能性について、どのようにお考えですか?

リバーウォーク北九州って、ショップの他にも大学や劇場やテレビ局が入っていて、ちょっと個性的だよね。いろんな人が集まることで生じる意外性は複合施設の魅力だと思うし、そこで働く人たちが同じダンスを踊ることで、自然と仲間意識を感じるようになったら面白い。それも、同じ会社のバッジをしているからとかじゃなくて、音楽やダンスを通じて共感し合えたらいいですよね。それをきっかけに絆…とまでは言わなくても、すれ違ったら「やぁ!」と挨拶をかわすくらいの繋がりがもてたらいいな、と思います。


―「リバダン!!」を創作するにあたって、どのようにイメージを膨らませていきましたか?

今回は、リバーウォーク北九州というテーマがあったので、ワークショップに参加した方にキーワードを出してもらいながら、みんなで一緒につくっていった感じですね。僕って、結構適当なんですよ(笑)僕ひとりの思い入れでつくるよりも、そこに集まった人と一緒につくりたいと思っています。だから、リバーウォーク北九州の支配人が「紫川のボート」と言ったら、ボートを漕ぐ振付を入れたり(笑)北九州は意外と「出したがり屋」が多くて、明るいノリが印象的でしたね。


―近藤さんは、ご自身のカンパニー・コンドルズでの作品づくりに加え、テレビや舞台でも活躍されています。一方で今回の「リバダン!!」のように地域で作品をつくることも積極的にされていますね。ご自身の活動の中で、地域での作品づくりはどのような位置を占めていますか?

作品のつくり方や観せ方は変わるかもしれないけど、僕の中ではコンドルズでの作品づくりも地域での作品づくりも、根本的には変わらないですね。地域だからこうしよう、といった使い分けはありません。基本的には、「一度しかない人生、どう楽しもうかな」ということでしかなかったりします(笑)


―「リバダン!!」で行った、フラッシュモブという手法についてはどうお考えですか?

4月にリバーウォーク北九州の10周年記念セレモニーで発表した「リバダン!!」が僕にとって最初のフラッシュモブでした。その後、熊本や静岡、岩手などで、モブ的なことをやりたいと立て続けにお話をいただいて、10月にはフェスティバル/トーキョーでモブを行いました。地域で創作する手法として、ここ一年くらいで、急速にフラッシュモブの認知度が上がった印象はあります。モブというと大勢が一カ所に集まって踊るイメージですが、フェスティバル/トーキョーではローカルラジオ局と組んで、ラジオで曲が流れたら、それを聞いて一斉に踊るということをしたんです。後日ツイッターを通じて、その時間様々な場所で踊っていた人がいたことが分かって、モブの可能性を感じましたね。

一方で、モブが地域での創作に「使える」と、安易に捉えられる傾向も感じます。モブには作った本人がその場に居なくても成立してしまう危うさがあるし、もし暴力的な事態になったとしても、それを誰がやったのか分からない。つまり責任を引き受ける人がいないようなことも起こりうるわけです。フラッシュモブは、交流のツールとして意味があると思うし、大勢が集まることで生まれるポエティックな要素もある。それに、外で踊ること自体がとても楽しいのでポジティブに捉えていますが、「なぜモブなのか」という意識を持ってやらないと、いずれ大きな問題が起きてモブの手法自体が廃れるのでは、という懸念はありますね。


―今回のようなプロジェクトを通じて、これまでダンスを意識していなかった人々がダンスと出会うことで、どんな効果が生まれると思いますか?

一般の方とのワークショップについて一つ思い出したのですが、以前東京でダンスと映像のワークショップをしたことがあって、踊っているところを動画で撮影して観賞する企画だったのですが、「さぁ、今から撮影するよ!」と言うと、みんな急に気合が入りはじめるんですよね(笑)ワークショプには基本的に本番がないので、身体を動かすことに終始してしまいがちなんですが、「本番的な時間」をつくることで気持ちが盛り上がったり、よい絆が生まれたりするんだと実感しました。

あとは、ワークショップや本番ではみんな盛り上がることができるのに、一旦終わって外にでると急に現実に戻ってしまう。そこの穴埋めが大事だと思います。集まって盛り上がるのはできる。大事なのは参加したひとりひとりが、その後、いかにその時間を継続できるか。そのために、積極的にダンスを続けるのもいいし、宴会芸を磨くのもいい。人に編み物を教えるのでもいいと思いますが、人生を楽しむ方法を、自分自身で探す。そのヒントに、ダンスやワークショップがなったら、いいですよね。

▼阿南浩信(リバーウォーク北九州 支配人)

―今回、劇場と一緒にオリジナルダンスづくりに取り組もうと思ったきっかけは何ですか?

2013年のリバーウォーク北九州10周年に向けて様々な記念イベントを企画する際、我々だけでなく、館内のショップや施設と一緒にできることはないかと考えていたところ、北九州芸術劇場から「リバダン!!」をご提案頂きました。これならリバーウォーク北九州で働く方々を繋ぐ催しになるのではと思い、実施することになりました。

―支配人ご自身も参加されたそうですが、近藤良平さんの作品づくりを目の当たりにして、感じたことはありましたか?

最初から形にはめるのではなく、即興でつくっていくことに驚きました。近藤さんはトークひとつで人を惹きつける力を持っている、エンターテイナーですね。最初のワークショップで、私も含め参加者の意見をフランクに取り入れて振付に採用して頂き、その結果「みんなでつくり上げた」という実感を持てたのは、近藤さんのプロデュース力あってのことだと思います。私自身「ダンスとはこういうもの」という固定概念がありましたが、「リバダン!!」のような誰でも踊れて心地よい疲れを感じられるものもあるんですね。

―ある種のゆるさというか、リバーウォーク北九州のイメージをやわらかいものにしてくれるダンスができましたね。

「リバダン!!」創作は、私たちの普段の仕事の進め方と対極的で興味深い経験でした。私たちが行っている販売促進という仕事も、企画を作るという意味では同じ「ものづくり」ですが、目的や費用対効果の検証などロジックを固めた上で進めることが必要になります。今回は、そういったことに縛られない、ニュートラルな物事の考え方を体験でき、とても新鮮でした。「リバダン!!」の経験があったから、その後の様々な販促企画も、会社としてのロジックは持ちつつ「わくわくどきどき」する感覚を大切にできましたし、そういう意味で去年一年はとても楽しかったですね。

―このプロジェクトを行ったことで生まれた変化や成果、今後に繋がる課題などはありましたか?

「リバダン!!」を通じて、リバーウォーク北九州の10周年と、施設内の結束を発信できたことは成果です。取材もたくさん受けましたし、PR価値も高かったと思います。人前で踊ることに初めは多少緊張感がありましたが、やってみると非常に爽快感があるんですよ。それにお披露目の時は、お客様に観て頂いていることもあって、とても達成感がありました。終わった後の打ち上げも共通の話題があると盛り上がります。普段はあまり交流のない劇場や美術館などの施設の方と、ショップの方々が交わる機会を作れたのも良かったですし、今後に繋がる関係性が構築できたのではないでしょうか。ちなみに事務所内では、スタッフが「リバダン!!」の歌を口ずさんだり、ちょっと踊ったりといったことが見られました(笑)今後の目標は、やはり参加ショップの数を増やすことでしょうか。どのショップもギリギリの人数で運営しているので、営業中は参加が厳しい状況があります。物理的に参加できなくても、「リバダン!!」を知って頂き、自分たちが働く施設のダンスとして愛着を持って頂く、そういった関わり方もあると思っています。

―今後「リバダン!!」を施設内で、どう活用していきたいとお考えですか?

とにかく継続していくことが大事だと思っています。例えば3時になったら館内に音楽を流してスタッフが踊るといったことが日常的にできたらいいですね。去年は、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」のスピンオフ動画が話題になったこともあって、フラッシュモブに注目が集まったと思いますが、今後モブが鮮度を失っても、リバーウォーク北九州の誕生日など、機会をもうけて踊り続けることで、更に多くの施設や地域の方に参加して頂ける大きな繋がりに育てていければと思います。

―「リバダン!!」の、踊っている人も見ている人も楽しくなるダンスである、という所に続いていく可能性を感じますね。

まさに、盆踊りと同じですよね。さほど練習をしなくても、見よう見まねで自然に輪に入っていける。受け継がれていくものとは、そういうものだと思います。もちろん、スタッフが変わることで無くなってしまう可能性はあるでしょうが、良いものは残していかないといけない。そこは理屈ではないと思います。

―今回、劇場という他業種との取り組みで見えてきたことはありますか?また、ダンスなどのアートが地域に果たす役割、それをリバーウォーク北九州が提供する意味を、どのようにお考えですか?

「商品を売る・買う」だけではなく、いろいろな方の知恵が結集して付加価値を生み出すことができるのが複合施設の強みだと思います。「リバダン!!」を踊ることが直接的に販売収入になるわけではないないけれど、それをきっかけに新たな発想が生まれたり、お客様が増えたり、劇場の評価が上がったり、結果的に何らかの形でビジネスに繋がればいいと思っています。リバーウォーク北九州は、駅のように一日に何万人もが行き来するターミナル立地ではないので、「あそこに行けば何か面白いことをやっているはず」という期待感をもって選んで頂ける施設になる必要があります。去年、10周年に先立って私がスタッフに伝えたキーワードは「想い出づくり」でした。子供の頃に、百貨店でお子様ランチを食べて、屋上の遊具で遊んだことが想い出として残っているように、お客様の買い物の時間を充実させるだけではなく、時代に合わせた驚きや発見を提供していくことで、お客様の日常や人生の様々なシーンで、想い出に残るような仕掛けを作っていきたい。10周年のイベントに留まらず、施設としてそうあり続けたいと思います。

▼北九州芸術劇場 「リバダン!」制作担当者

―リバーウォーク北九州のオリジナルダンス「リバダン!!」は「地域のアートレパートリー創造事業」の第一弾として行われました。そもそもこの事業が始まったきっかけは?

直接のきっかけは、昨年行った「アーティスト往来」という事業の中で、伊藤キムさんの振付けで地元企業の安川電機のダンスを創作したことです。その経験から、企業でダンスをつくることが職場内のコミュニケーションの活性化に繋がり、企業の特性を反映させることで、オリジナル性の高い作品ができることが分かりました。北九州芸術劇場はオープン前から、アーティストと劇場の外で様々な出会いの場を作るアウトリーチを行ってきましたが、次の10年に向け、こうした活動を事業終了後も長く地域に残す仕組みとして考えられたのが「地域のアートレパートリー創造事業」です。安川電機では創作したダンスを企業のお祭りで披露するのみでしたが、これを企業側も長く活用できるコンテンツとして創作・定着させられないかと、今回「リバダン!」を企画しました。

―パートナーにリバーウォーク北九州を選んだ理由は?

劇場が外に出る際、これまでは劇場から企業や団体に「お願い」することが多かったのですが、この事業では、劇場と対等な立場で創作に関わり、楽しんでくれる組織や団体とパートナーを組むことが大切になります。リバーウォーク北九州は、北九州芸術劇場を含む多くの施設や店舗が入る複合施設で、昨年、劇場と共に10周年を迎えました。これまで一緒に歩んできた仲間として、作品づくりに挑戦しませんか、とお声がけした所「ぜひ」となった次第です。

―アーティストに近藤良平さんを選んだ理由は?

アーティストの選択はリバーウォーク北九州の担当者と一緒に行いました。近藤さんはこれまでも、様々な地域でそこに住む方と創作をされています。また、多様な人々が働く複合施設という、リバーウォーク北九州の特徴も考慮し、サラリーマンからショップの方まで、広く顔を知られている方が良いだろう、ということで近藤さんにお願いすることとなりました。

―地域での創作にアーティストが参加する意義をどうお考えですか?

劇場で創る作品であれ、地域で創る作品であれ、事業がアーティストに創造的な刺激を与えることができるかを常に考えています。東京を拠点に活動するアーティストにとっては、地域での創作を通し北九州固有のものに出会うことは刺激になるでしょうし、大型複合施設との創作も貴重な経験になると思います。

―リバダンの創作に関して、近藤さんにどういったオーダーをしましたか?

「その場にいるみんなでつくってください」とお願いしました。近藤さんもそのつもりで、ワークショップでは参加者の意見をどんどん取り入れていきました。作品づくりも含めて1時間半で、その場にいた約60人が踊れるようになったので、「誰でも踊れる」という観点からも理想的な作品になったと思います。ただワークショップに参加できず振付けの動画で練習した方からは「難しい」という意見も出ましたが。

―創作を通して、どういった成果が得られたと思いますか?

施設内で普段会う機会がない方と知り合えたことや、すれ違ったら挨拶をするようになったなど、今までになかったコミュニケーションが生まれたことは、成果だと思います。店舗ごとに勤務状況が異なるなか、最終的にたくさんの店舗や施設の方が参加して下さったのが嬉しかったですね。

―パートナーであるリバーウォーク北九州とは、どのようにイメージを共有して事業を進めていったのですか?

まず4月18日の10周年記念セレモニーで、ダンスのお披露目をすると決めて、それ以降は市のお祭りや劇場の事業の中で「リバダン!!」を活用していくために、個々の催しでどのように見せるかを詰めました。例えば4月のセレモニーでは、式典中に突然踊りだすフラッシュモブ形式で、8月のお祭りではパレード形式、といった感じです。幸いなことに、リバーウォーク北九州の担当者とは、「リバダン!!」を「イベントで終わらせない」ことや、焦らず長期的な視点で浸透させていくことなど、最初からイメージの共有ができていたので、非常に楽でした。劇場として気をつけたのは、この事業を相手の立場で見た時に、どうしたらモチベーションを高く持って取り組んでもらえるかということです。文化の専門機関としてのノウハウをきちんと示し、一緒にできることを話し合いながら本気になってもらう。その最初の過程でボタンの掛け違いがあると、後々ひずみが広がるのではないかと思います。

―企業や施設と対等なパートナーシップを結ぶことの難しさもあると思いますが、今回どのような「対等さ」を求めましたか?

今回のような経済的な指標にのらない事業を行う際、商業施設側では予算確保がしにくいこともあります。
今回はダンスの作品創作に必要な最低限の予算は劇場が持つようにしました。また、作品のクオリティや企画の実現性についても、専門機関としてノウハウを持つ劇場が責任を持つべきだと思います。今回、リバーウォーク北九州は対外的なPRや、入居施設や店舗への呼びかけ、実施に際しての施設利用に関して全面的に協力して下さいました。稽古の場にも管理事務所の方々がたくさん参加して下さり、可能な範囲の協力を惜しみなくして頂いたと思います。

―3月の演劇フェスティバルでは「リバダン!!」を一般の方と踊るフラッシュモブが行われました。企業や市民の方と、地域で作品をつくる意義とは何ですか?

「リバダン!!」のような市民の方と共有できるツールを持つことで、リバーウォーク北九州が、単に買い物をする場所ではなく「一緒に踊った店員さんのいるお店」という風に、より親しみを感じられる場所になるといいなと思います。普段アートに馴染みのない所にアートを定着させるのは劇場の役割でもありますし、パートナーとなる企業にとっては、創造性のある活動を通じて、社内の課題を改善できたり、地域コミュニティの活性化に貢献できる利点があります。文化やアートのいい所は、他の領域と競合せずに、経済の理念と離れて一緒に夢を見ることができる所だと思うので、劇場が10年かけてストックしてきたノウハウを活かし、企業や市民の方と一緒に固有の文化を生み出して、安心して住み、楽しく働ける、魅力的なまちづくりに繋げていけたら、と思います。

協働団体

リバーウォーク北九州

アーティストほか

リバーウォーク北九州オリジナルダンス「リバダン!!」製作プロジェクト
振付:近藤良平(コンドルズ)
作曲:吉田トオル(ストライク)
映像:橘剛史(CHINZEI)

「地域のアートレパートリー創造事業」とは

北九州市の企業や団体などと協働し、この地域のアートレパートリーとなりうる作品を創作する事業です。継続的に上演(活用)することが可能な作品づくりを行うと同時に、作品を通じた継続的な地域活性や課題解決を模索していきます。こうした取組みを通じ、さまざまな地域団体が起点となって舞台芸術の魅力を発信したり、舞台芸術を活用したさまざまなムーブメントが街に生まれていく事を目指しています。

■2014年度 北九州芸術劇場×スターフライヤー「そらダン」
 [振付・康本雅子/音楽・オオルタイチ]
https://youtu.be/wYD7TEM36_s

■2016年度・2017年度 北九州芸術劇場×ギラヴァンツ北九州「ギラダンス」
 [振付・近藤良平/ 作曲・吉田トオル]
https://youtu.be/TDyLDLw9uy0

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