声は、振り返る。わたしたちのささやかな運命を。8名の俳優による声と身体の、永遠のような75分のミニマルミュージック。
作・演出の穴迫信一が紡ぐリリックを組み込んだ戯曲と、発語や構成に渡り音楽的要素を用いた演出で北九州市を拠点に全国で活躍の場を広げるブルーエゴナク。2021年、ブルーエゴナクが新作として取り組むのは「声」の可能性についての演劇です。昨年はコロナ禍の影響によりフィジカルでの上演を中止し、俳優の声と音楽によって構成されたオーディオ作品を創作。本作はその発展系として、「声」がいかなる形式で上演性を担保し、舞台上に存在する生身の俳優や観客に対して、どのような影響力を持ってその場所に響くかを検証します。これまでの「記録」を題材にしたモノローグと音楽的手法を元に、新たな形式の演劇作品の上演を目指す意欲作にご期待ください。
2020年から今日にかけて、この時世の中で何を失くしたかというと、いちばんは自分自身への信頼かもしれません。動き出さないといけないのにそうできない、動き出してもどこか空回っているような気持ちになったりして、そんな感覚がどうにも体から離れてくれない。それで、『眺め』という演劇は、もう一度何か、多分それは、虚構性そのものを信じ直すための演劇です。正しくなく居れる場所としてのフィクションの機能を、あらためて確かめてみたいと思っています。多くの人が様々なものを失った2020-2021において、手段と目的を行き来する「演劇」という抽象的な存在を、時に憎しみ慈しみながら、自分が獲得した数少ないものの一つは〈声〉への信頼です。声の演劇。そんな名前はどうかと思いますがともかく、これは自分にとって新たな演劇の始まりです。始まりでありますように。
穴迫信一
稽古風景
作・演出
穴迫信一
音楽
COMPUMA
出演
平嶋恵璃香、野村明里、小関鈴音、高山実花、木之瀬雅貴
声:重実紗果、日髙啓介、菅一馬
お問い合わせ
ブルーエゴナク
egonaku@gmail.com
TEL 080-1710-2887(ブルーエゴナク キタムラ)
備考
企画・製作/ブルーエゴナク
主催/ブルーエゴナク
提携/北九州芸術劇場
助成/日本芸術文化振興基金、公益財団法人セゾン文化財団