フランツ・カフカによる、不条理小説の名作『変身』を舞台化。
北九州、京都、東京の三都市を拠点に、普遍的かつ革新的な演劇作品の創作をコンセプトに活動するブルーエゴナク。劇団代表・演出の穴迫信一が2020年度より公益財団法人セゾン文化財団セゾン・フェローΙ、2022年度よりTHEATRE E9 KYOTO第3期アソシエイトアーティストに選出されるなど全国で活躍の場を広げています。
今回は2024年6月に岩手県宮古市の高校鑑賞事業として制作・上演した『変身』を、北九州で再演します。古典文学を若い世代にも親しみやすく舞台化し好評を得た、ブルーエゴナクによる『変身』にご期待ください!
作品に寄せて
カフカのドライな文体に、自身の作品の特徴のひとつである「エモーショナルを過剰に扇動しないニュートラルな視点」との高い親和性を感じたのが本作を選んだ理由のひとつです。一方で、ドライさの中に苛烈なほど残酷な現実をありありとしたリアリティをもって書き込むのがカフカの手つきであり、本公演ではその効力と必然にも導かれることになりそうです。『変身』は不条理文学と呼ばれていますが不条理なのは-人間が虫になる-というその一点のみであり、それ以外のすべては至極現実的に描かれていきます。登場人物だれひとりとって不可解な言動はありません。陥るべくして陥る。しかし、そこに異様さがあります。その現実の在り方のひとつとして、家族たちはその巨大な虫に兄の人格は当然残っていないものと考えているが、実際はグレーゴルにはちゃんと意識がある、という認識のズレが描かれます。そのズレは双方の「怯え」によって生まれ、やがて家族が抱える他者への畏怖、排除性、暴力性を浮き彫りにします。本公演では大きな改変を加えずクラシックな上演を目指しながら、グレーゴルが“甲虫になる”のではなく“甲虫として扱われる”という視点から、極めて現実的な進行の中で誰しもが決して他人事ではない「異質なものへの怯え」を描きます。
穴迫信一
あらすじ
グレーゴルは、ある朝目覚めると巨大な虫になっていた。仕事に行けなくなり、家族との関係もぎくしゃくし始める。最初は彼を助けようとする家族も、時間が経つにつれて彼を恐れ、避けるようになる。母は怯え、父は力で追い払い、妹も世話をあきらめてしまう。孤独に追い込まれたグレーゴルは、やがて静かに命を落とす。彼の死後、家族はその存在を忘れるように新しい生活へと歩み始める。フランツ・カフカによる不条理文学の名作。
原作
フランツ・カフカ
翻訳
高橋義孝
構成・演出
穴迫信一
出演
小関鈴音、望月綾乃(ロロ)、青木裕基
お問い合わせ
ブルーエゴナク
egonaku@gmail.com
090-6299-5590
備考
企画・製作/ブルーエゴナク
主催/ブルーエゴナク
提携/北九州芸術劇場
協力/ロロ
製作協力/宮古市民文化会館(NPO法人いわてアートサポートセンター)
助成/公益財団法人セゾン文化財団