作・演出:岩井秀人コメント
音楽:前野健太コメント
出演:松尾スズキコメント
世界の美しきイビツさを閉じ込めた“ある悲惨な男の物語”
演劇界内外でその才能を高く評価され、今最も新作を熱望される劇作家・演出家の岩井秀人(ハイバイ主宰)。綿密な取材を元に、家族間の確執、トラウマ、自意識など人間の赤裸々な営みを鋭く浮き彫りにし、深刻なテーマを内包しながらも、笑って泣ける繊細な喜劇に仕立て上げる岩井秀人が、自身初となる音楽劇に挑みます。タッグを組むのは、岩井が最も信頼するシンガーソングライター・前野健太。出演に松尾スズキ、松たか子、瑛太をはじめ岩井が出演を切望した豪華俳優陣が集結して贈る“ある悲惨な男の物語”にご期待ください!
あらすじ
海のそば。かつて炭鉱で栄えたが今は寂れ切ってシャッター街となった地域に生まれ育った同級生三人が、家族とモメにモメ、窃盗で捕まったり、自死を計ったり、上手く立ち回って人生の罠から逃れたりなどしつつ、東京へ出て成功したり失敗しながら再び巡り会う、物語。三人の人生のねじれと交わりを、<前野健太と世界は一人>が奏でるオリジナルの楽曲にのせてたっぷり描きます。
作・演出
岩井秀人
音楽
前野健太
出演
松尾スズキ、松たか子、瑛太/平田敦子、菅原永二、平原テツ、古川琴音
演奏
前野健太と世界は一人(Vo,Gt.前野健太、B.種石幸也、Pf.佐山こうた、Drs.小宮山純平)
岩井秀人コメント
初めての音楽劇です。以前から、歌には個人的なことを拡大して届ける力があると感じていました。とすると、僕がいつもやっている身近なことを描く演劇も、音楽で広げられるのではないかと思ったわけです。音楽を担当するのは、昨年、『なむはむだはむ』で音楽の自由を一緒に感じたマエケン(前野健太)です。稽古場で俳優さんたちと一緒に曲を完成させていくような作り方をし、モノローグから、ダイヤローグから、スッと歌が生まれていけたら、と思っています。また、そんな大変な作業を共にしていただけるであろうキャストに集まっていただけました。松尾スズキさんと松たか子さんと瑛太さんが同級生役です。8歳くらいから皆さんにやってもらおうと思ってます。総勢7名の盤石の俳優陣も揃いましたし、見たことのないものができると思っています。本当に。
松尾スズキコメント
共演が松たか子さん、瑛太くんと聞いて、「岩井くん、ちゃんとやるんだな。“なんちゃって音楽劇”じゃないんだな」と思いました(笑)。ミュージカルというと大きな世界観を描くイメージがありますが、日常会話からサッと歌に入っていくというのもオシャレでいいんじゃないでしょうか。僕もリズムや音程といったところから自由になって歌えたらと思います。松さんと瑛太くんと同級生というのはどう頑張っていいのかわかりませんが(笑)。でも、岩井くんの芝居は、おばあちゃんじゃない人が記号としてのおばあちゃんを演じる、といった仕掛けが面白かったりもします。ひどい人生を演じることになるようですが、この期間はこのお芝居のことだけを考えられるようにあけてあるので、じっくり楽しみたいと思います。
前野健太コメント
岩井さんが取り組んで来られた作品は、まぎれもなく「歌」そのものなんだと思います。街の人の物語、気分、絶望、吐息。時に憎悪に近い感情も、作品のなかでは旨味に昇華させ「歌」に変えてしまう。それは演劇作品、舞台上ではセリフに聞こえるかもしれないけど、僕にとっては、岩井さんが俳優に語らせるセリフはもう「歌」のようでした。だから今回彼が音楽劇をやる、と言い出したとき、まったく違和感がありませんでした。ただ、どうして自分が誘われたのかは未だに不明です。罠にかけられた!とさえ思っています。彼は曲も詞も書けてギターも歌もやれるからです。強烈な俳優の方々が持っている「歌」と岩井さんの「歌」がどうぶつかっていくのか、これからとても楽しみです。その人の「声」もまた「歌」そのものと思うからです。
お問い合わせ
北九州芸術劇場
TEL 093-562-2655 (10:00~18:00)
備考
主催/(公財)北九州市芸術文化振興財団
共催/北九州市