カフカ第4の長編小説!?虚実入り混じる問題作に実力派俳優が結集
アウトサイダーにしてトップランナー、特異なポジションで日本演劇界を席巻し続けるケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が敬愛する作家、フランツ・カフカの“幻の”長編に挑む!
「失踪者」「審判」、遺作長編とされていた「城」に続く、誰も知らないカフカの未発表作…その4作目の長編小説の遺稿が発見されたとしたら!?しかもそれが舞台化されたとしたら!?KERAのマジカルな想像力が幻視する、ありもしないカフカ作品の捏造。今年一番の話題作が登場します。
出演には、KERA作品初登場となる多部未華子、2017年上演作「陥没」で大きなインパクトを残した瀬戸康史、TEAM NACSの個性派俳優・音尾琢真、いまやドラマ・映画で欠かせない存在となった渡辺いっけい。そして圧倒的な存在感で観客を魅了し続ける女優・麻実れいに加え、KERA作品を知り尽くしたファミリーともいえる面々まで、これ以上ない強力な布陣でカフカ未発表長編の舞台化に挑みます!
近頃発見されて話題となった、フランツ・カフカの長編小説の遺稿。これをすかさず舞台化しようという企みが、この度の公演である。困難な上演になるだろう。なにしろ、そんな遺稿なんて見つかってないのだから。
カフカ(1883~1924)は、お馴染みの『変身』をはじめとした数々の短編小説と、『失踪者(アメリカ)』、『審判』、『城』の3本の未完の長編小説(『審判』は途中が欠落、他の2作は文字通りの未完)を遺し、親友の編集者マックス・ブロートに「遺稿は全て焼き捨ててほしい」と言い遺して天に旅立った。死因は、当時まだ不治の病だった結核。マックスは約束を反故にし、焼き捨てるどころか、全集を出版した。ひどい話だが、そのおかげで今、我々はカフカの、カフカにしか書けない小説を、幾度でも読むことができる。そして、死後100年近くを経ての、新たな長編原稿の発掘。発掘されてないのだけれど。
発掘されてない以上読めるはずがない。故に私はまだこの小説を未読だ。きっと前例に漏れず、欠損だらけだろうと憶測する。ラストシーンはあるのだろうか。全体がないのだからあるわけがないが。
「ドクター・ホフマンのサナトリウム」というのは、彼が最後の数ヶ月を過ごした療養所である。ということは、『城』のあとに書かれたのだろう。書かれてないのだけれど。「カフカ第4の長編」は、まだ見ぬ「カフカ最後の長編」だ。人生の終焉を見つめ、それまでにない「新しいカフカ」が見つかるやも知れぬ。困難な公演だ。せめて遺稿が見つかっていればもう少し楽だろうに。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ
作・演出
ケラリーノ・サンドロヴィッチ
振付
小野寺修二
映像
上田大樹
音楽
鈴木光介
出演
多部未華子、瀬戸康史、音尾琢真、大倉孝二、村川絵梨
谷川昭一朗、武谷公雄、吉増裕二、菊池明明、伊与勢我無
犬山イヌコ、緒川たまき、渡辺いっけい、麻実れい
王下貴司、菅彩美、斉藤悠、仁科幸
演奏
鈴木光介(Tp) 、向島ゆり子/高橋香織(Vn)、伏見蛍(Gt)、関根真理(Per)
出演者コメント
お問い合わせ
北九州芸術劇場
TEL 093-562-2655 (10:00~18:00)
備考
主催/(公財)北九州市芸術文化振興財団
共催/北九州市