日常の裏側に潜むパラレルワールド。前川知大が描く不思議な世界。
今作は、見る者に何とも言えない幸福感をもたらす奇妙な隕石の破片を拾った少年の話「瞬きさせない宇宙の幸福」(2008)をエピソードの1つに含む、長編SF年代記。
出演は、様々な演出家からの信頼も厚く、多くの作品で印象的な演技を見せる池田成志を客演に迎え、上巻とは別アプローチでの作品をお送りします。昨年のイキウメ公演「ミッション」、北九州芸術劇場でも上演した「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」の演技で、第47回紀伊國屋演劇賞・個人賞を受賞したばかりの劇団員・浜田信也ら、進化を続ける役者陣にもご注目ください。
「獣の柱」稽古場から 前川知大
図書館(下)ですが、(上)観てないと駄目とか微塵もありませんので大丈夫。
【あらすじ】
ある日、アマチュア天文家の二階堂は、小さな隕石を拾います。
その隕石は、見る者に恐ろしいほどの幸福感をもたらしました。
夢中にし、思考を奪い、自分で目をそらすことはできません。
一人で見たら最後、死んでしまうまで見続けることになるのです。
そして、隕石が落ちた後、空からは巨大な柱が降り注ぎました。
それは人々にあきれるほどの祝福を与え、静寂のうちに人々を支配しました。
世界は大きく変わりました。
柱は人間に何を課し、何から解放したのか_。
『図書館的人生 Vol.2』(2008年)の中の1篇として上演した、『瞬きさせない宇宙の幸福』は、二階堂と隕石の出会いを描いた短編です。
その時にこれは大きな物語になると思って、「壮大な年代記の一部なんだ」と劇団員にその構想を話しました。皆面白がってくれて、いつかやろうと盛り上がりました。
ですが、日常から少しずつズレて大状況になっていく、というイキウメのスタイルでそれが作れるのかなー、というのがあって今までやっていませんでした。大状況のリアリティをどうやって演劇的に確保できるのかな、という課題がありました。
昨年末、劇団が10年ということで、『図書館的人生』の短篇を傑作選的に上演しました。作っているうちに、ただ並べるのではなく、こっちの方がドキドキするぞ、と結果リミックスされたものが出来ました。これが上巻です。
下巻は『瞬きさせない~』に挑戦しようと思いました。短篇の長篇化、それが『獣の柱』です。
そういうことで、「まとめ*図書館的人生」は「圧縮とフルスケール」の上・下巻上演ということになりました。
図書館(下)ですが、(上)観てないと駄目とか微塵もありませんので大丈夫。
今回初めて観るという方もご心配なく、です。どうぞご期待ください。
作・演出
前川知大
出演
浜田信也、盛隆二、岩本幸子、伊勢佳世、森下創、大窪人衛、加茂杏子、安井順平/池田成志
お問い合わせ
北九州芸術劇場
TEL 093-562-2655
備考
提携/北九州芸術劇場