北九州芸術劇場・パリ市立劇場・山海塾の初の共同プロデュースにより誕生した最新作『時のなかの時―とき』。本作は、05年パリ市立劇場で世界初演され、「天児牛大による生命の劇場‐‐30年かけて、この日本の芸術家が築き上げてきた建築物に、さらなる石材をひとつ加えた(ル・モンド紙)」と称され、高い評価を得ました。そして、翌年日本初演として北九州芸術劇場で上演。また、今年1月に第6回朝日舞台芸術賞グランプリを受賞し、今後、世界各国での公演が予定されています。この受賞とワールドツアーのスタートを記念して、北九州芸術劇場で再び上演します。
舞台上には、モノリスを連想させる7枚の黒板が扇状に立ち、その前には、舞台左奥から回廊がのびる。床は一面の砂。ふと見上げれば、中央には円形リングと、長い鉄棒が吊られる神秘的な舞台美術。本作は、7人の舞踏手と天児のソロにより、様々に情景が変化し、繊細にも大胆に紡がれていく7つのシーンで構成されています。
「劇場という場の不可思議性が、『とき』をクリエーションするきっかけとなりました。劇場では、日常とは異なった時間と空間が舞台上で展開され、上演される作品は常に入れ替わる。都市の中にいくつも点在する日常の中の異空間、“時のなかの時”を入れ子のように作品のうちに込め、劇場へのいざないのつもりで作りました。」(天児牛大)
今年の山海塾の国内公演は、ここ、北九州芸術劇場のみ。天児氏からすべての観客へ贈られた、“劇場への招待状”ともいえる本作を、ぜひお楽しみ下さい。
パリ公演舞台評 (ル・モンド紙)
振付家の中で、目に見えないものや、内的なものや、自身の謎といった難しい概念を意識させる人は稀にしかいない。このような冒険は、この現代の儀式に飛び込むことができる振付家のみ可能なのだから。天児自身によって踊られるソロは、人を魅惑する強い力を持っている。彼は床の上を、常に腰を折った姿勢で対角線に進む。その一歩ごとに、生ける者のアルカイックな不安をさかのぼり、内的な闘いを強めていく。
演出・振付・デザイン
天児牛大
音楽
加古隆、YAS-KAZ、吉川洋一郎
舞踏手
天児牛大、蝉丸、岩下徹、竹内晶、市原昭仁、栩秋太洋、長谷川一郎、松岡大
お問い合わせ
北九州芸術劇場
TEL 093-562-2655