’82年以降、パリ市立劇場との共同プロデュース形式で新作を発表してきた山海塾が、創立30年の節目に北九州芸術劇場、パリ市立劇場と共同プロデュースする新作。
12月にパリで初演、3月に当劇場で日本初演を行います。舞踏を「重力との対話」と捉えながら、「誕生」「死」といった普遍的な人間の本質に迫る天児牛大の世界を、ぜひ体験してください。
◇解説
太古の空気。乾いた時間。呼吸する空間。7枚の黒い壁が支えるのは、空、天、宙。ここでは、踊るものたちの指、足先、首がほんの少し動いた瞬間に、空間と時間が入れ替わる。『時のなかの時―とき』で、天児はこれまでの作品と大きく構成を変えた。さまざまな場面で、群舞のひとりひとりの舞踏手が積み重ねた個の瞑想から発せられる、静かに疾走する感情をみせつける。
パリ公演舞台評 (ル・モンド紙2005年12月20日)
天児牛大による生命の劇場数章からなるこの作品は、舞踏手たちの極度の孤独の上に成り立っている。それぞれの舞踏手が、瞑想の上にとぐろを巻いている自分自身と向きあって表現し、表層を突きぬけるために、休みなく壁にぶつかる。微笑みやしかめ面の間に、螺旋と痙攣がある。逃げ道のないこの妄執以外のものには気づきもせず、山海塾は、この乗り越えがたいものや、積み重なった感情を受容することにおいてのみ存在している。 ――(中略)――
振付家の中で、目に見えないものや、内的なものや、自身の謎といった難しい概念を意識させる人は稀にしかいない。このような冒険は、この現代の儀式に飛び込むことができる振付家にのみ可能なのだから。天児自身によって踊られるソロは、人を魅惑する強い力を持っている。彼は床の上を、常に腰を折った姿勢で対角線に進む。その一歩ごとに、生ける者のアルカイックな不安をさかのぼり、内的な闘いを強めていく。
演出・振付・デザイン
天児牛大
音楽
加古隆、YAS-KAZ、吉川洋一郎
舞踏手
天児牛大、蝉丸、岩下徹、竹内晶、市原昭仁、栩秋太洋、松尾尚司、長谷川一郎
スタッフ
舞台監督/中原和彦、松下清永 照明プランナー/吉本有輝子
照明オペレーター/鈴木悟 音響プランナー/相川昌 音響オペレーター/宮崎淳子
お問い合わせ
北九州芸術劇場
TEL 093-562-2655