イッセー尾形が、地元のフツーの人々と共演。一人芝居のイッセー尾形が共演者を得て、さて、どうなる?
俳優イッセー尾形と演出家の森田雄三がともに全国各地をめぐり、各地に一週間滞在。そこで地元の人たちといっしょに芝居をつくり、できたての芝居をお見せします。
北九州では、どんな芝居ができあがるのか?
お芝居は観客が創造するもの
我々「イッセー尾形・ら」は25年に渡って一人芝居を続けてきました。日本各地で年間100ステージ。12年前から毎年海外にも出掛けております。一人の俳優しか舞台に立たない、地味な芝居が何故こんなにも長く、大勢の観客に支持され続けたのだろう。それはこれまでの演劇の作り方とは違ってるからです。一番大きな違いは、お客さんの想像力を信用している点ではないでしょうか。我々は「与えてくれる芸事はテレビで充分だ」と思っています。
ひとりの人間をずっと見続けると、その人固有の人生を誰しもが想像するものです。平凡な人生だった、人様に見てもらうような立派なものはなにもない、と感じておられる方こそ、謙虚な深い人生があるのではないでしょうか。人間を見る、そして見られることこそが我々の考える演劇なのです。すまし顔で撮った記念写真より、いつ写されたか気づかなかったスナップ写真の方が魅力的だったということはよくあるものです。舞台に立つという緊張の極地と思われる状態を、コタツでミカンを食べているようなくつろいだ時間にすればよいだけなのです。我々が素人の人達と芝居をする試みも10年に渡って行なってきました。74歳のペンキ屋のおじいさんや、11歳の小学生も参加してくれました。そして、みんなイッセー尾形と同じ舞台に、いつの間にか立ってしまいました。
大決心はいらないのです。見学のつもりで気楽に稽古を見に来てください。退席も自由です。
俳優イッセー尾形と演出家森田は、30年前は台本や装置のある普通の芝居をしてたんですが、生活に追われるようになり正業に就き、お金の掛からない方法をあみ出さざるを得なかったのです。それがこんな変わった芝居を始めたキッカケでした。そしてその時に、職場で地道に生きてる人たちの人情や機微に目が開かれたのです。これまでテレビや映画、舞台で取り上げられなかった人たちを新たに発見しました。恋愛も犯罪も裸とも関係のない、我々の描いた人物の数は350人を超えました。我々は日々の生活に忙しい人たちと、一緒に芝居をすることが念願だったのです。
公演を観に来てくださる観客のみなさんは「面白い」「面白くない」の領域を越えた奇妙な舞台を眼にするでしょう。完璧に芝居をつくり上げてきた、イッセー尾形・らの悪戦苦闘は間違いないのですから。どうぞあたたかい眼で見てやって下さい。
文責 イッセー尾形・ら
演出
森田雄三
出演
イッセー尾形&フツーの人々(「イッセー尾形ができるまで」参加者から選抜)
スタッフ
フーリガンズ
お問い合わせ
北九州芸術劇場
TEL 093-562-2655