人々の忘れられない「時」が新庄家の茶の間に刻まれてゆく
舞台は高度成長期を迎えた1961年、東京。安保反対闘争の余熱を残しつつ「所得倍増」のスローガンに後押しされ、「レジャーブーム」が叫ばれ「テレビ、電気洗濯機、冷蔵庫」の三種の神器が家事を飛躍的に進歩させつつあった夢のような時代。
貧乏だが、士族出身で誇り高い「新庄家」には、まだテレビがない。
ところが、納戸に下宿する謎の女・ツル子がテレビをもらってしまい、近所の面々が入り浸る始末。新庄家の主婦でもある、延ぶは気が気ではない。娘の詩子夫婦がツル子にテレビを贈ったのは何か下心があってのことなのだ。
やがて、ツル子は新庄家を黙って去り、茶の間にはTVが1台、変化の象徴のように置かれる。新しい時代の波が怒涛のように訪れ、人々の暮らしも考え方もその波にもまれ、新しい方向へと流される予兆を物語るように。
家族と家族を取り巻く人々が舞台上で昭和30年代の東京が再現され、そこで実際に生を営んでいることがごとく、生き生きと描かれる。それぞれの想いや志、挫折や衝突などを通じて起こるさまざまな出来事が、戦後、劇的に変化する昭和という時代の歴史的エピソードと巧みに絡み合いながら描写される。
作
永井愛
演出
江守徹
美術
妹尾河童
出演
有馬稲子、辰巳琢郎、江守徹 ほか
お問い合わせ
北九州芸術劇場
TEL 093-562-2655
備考
主催/(財)北九州市芸術文化振興財団