大衆演劇の女座長が狂気の果てに達した至福の極点(きわみ)!
急激な時代の変化のために、十日後には取り壊しになろうというさびれた芝居小屋の楽屋。
・・・客入れを知らせる演歌が聞こえてくる。と、それまで仮眠をとっていた大衆演劇「五月座」の女座長・五月洋子がすくっと立ち上がった。二十年前、夫に去られた彼女、一座の命運はその肩にかかっているのだ。たよりない座員たちを叱りつけながら、“見えない鏡”に向かって彼女は化粧を始める。前狂言「伊三郎別れ旅」の伊三郎役のためである。母親に捨てられた伊三郎が、老いた母親に再会するというハッピーエンドの芝居である。
そこに、一人のテレビ局員が訪れる。「朝のワイドショーに出て欲しい、二十年前、生まれてすぐに母親に捨てられたが今をときめくテレビスターとなった田上晴彦とのご対面番組だ」という。夫の失踪後、貧しさのあまり息子を捨てた洋子の過去が突然“鏡”の中に浮かび上がってきた。・・・・・
そして第二幕。その息子が目の前に現れたのだ。驚愕し狂喜する洋子だったがしかし・・・・・・
’81年の初演以来、日本全国はもちろん、フランス・カナダ・アメリカ・ベルギー・東南アジアなど、550回上演してきた渡辺美佐子の傑出した舞台の決定版を、どうかあなたの目で!
作
井上ひさし
演出
木村光一
出演
渡辺美佐子
スタッフ
装置/石井強司 照明/室伏生大 音楽/宇野誠一郎 効果/深川定次
舞台監督/幡野寛 制作担当 /和泉将朗 制作総務 /渡辺江美
お問い合わせ
北九州芸術劇場
TEL 093-562-2655